当院では甲状腺疾患の診断と治療に力を入れています。
甲状腺とは?
位置と形状:甲状腺は喉ぼとけの下に位置し、蝶のような形をした小さな臓器です。
働き:甲状腺からはホルモン(チロキシン(T4)、トリヨードチロニン(T3))が分泌されています。これらは次のような機能をもっています。
①代謝の調節、②体温の調整、③心臓の機能(心拍数など)、④消化や筋力の調整
甲状腺の病気
甲状腺の病気には「甲状腺機能の異常を伴うもの」と「甲状腺の腫れや結節(しこり)を伴うもの」があります。
甲状腺の腫れや結節は、検診・人間ドックだけでなく、CT・MRIなどで偶然に指摘されることも増えてきています。
こんな症状がある方は一度受診をお勧めします。
- 首元が腫れている
- 疲れやすくなった
- 脈が速くなった・遅くなった
- 暑がりになった・寒がりになった
- 体重が減ってきた・増えてきた
- 手足が震える
検査内容
甲状腺の病気を疑った場合には、次の検査を行います。
①問診、触診 ②甲状腺ホルモン測定 ③甲状腺エコー検査
必要であれば甲状腺に対する自己抗体の測定や、細胞診の検査などをご提案いたします。
当院の特徴
①甲状腺ホルモン迅速検査:当院では院内で甲状腺ホルモンを測定することが可能です。甲状腺機能の異常が体調不良の原因となっていないか、当日に診断することが可能です。
②甲状腺エコー検査:甲状腺の大きさやしこりなどを調べるために、院内で甲状腺のエコー検査を実施しています。
③病診連携:当院は日本甲状腺学会認定施設である平塚共済病院甲状腺センターと連携しています。細胞診や手術などが必要と判断した場合は、スムーズにご紹介することが可能です。
甲状腺機能異常を伴うもの
① 甲状腺機能低下症
症状:疲れやすい、体重増加、寒がり、意欲低下、便秘、徐脈など
原因:甲状腺ホルモンの不足
代表的疾患:橋本病
② 甲状腺中毒症
症状:疲れやすい、体重減少、暑がり、下痢、手の震え、心拍数増加など
原因:甲状腺ホルモンの過剰
代表的疾患:バセドウ病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎
甲状腺結節(しこり)を伴うもの
症状:喉ぼとけの下にしこりや腫れを認める、飲み込みづらさなど
①良性腫瘍
濾胞腺腫…良性の腫瘍。ゆっくり発育していきます。大きくなる場合は悪性の可能性が否定できないので、手術が必要となる場合があります。
腺腫様甲状腺腫…甲状腺に1~数個のしこりができる病気。多くの場合は無症状で治療の必要はありませんが、大きくなると手術が必要になることもあります。
のう胞…液体がたまった袋状の腫瘍。大きくなると液体を吸引することもあります。
②悪性腫瘍(=甲状腺がん)
乳頭がん…最も多い甲状腺がん。進行が遅いことがほとんどです。
濾胞がん…2番目に多いがん。良性の腺腫と区別が難しいことがあります。
未分化がん…非常に稀。急速に進行します。
髄様がん…非常に稀。一部では遺伝性による発症がみられます。
悪性リンパ腫…橋本病から発生します。